「まちづくり」は、自治体の経営そのものであり、首長(市町村長)をトップとし、市民を含めた組織のマネジメント能力を最大限発揮することにより経営の成功へと導かれます。「まちづくり」において企業経営と同じ手法や方法論を採用することが成功への近道となります。ピーター・F・ドラッカーは、企業経営におけるマネジメント体系を確立し、マネジメントスキルのほとんどを生み出したマネジメントの父と言われています。ドラッカーが直接的に「まちづくり」というテーマで具体的な手法を論じているわけではありません。しかし、彼のマネジメント論の根幹にある考え方は、まちづくりにおいても非常に示唆に富んでいます。ドラッカーの視点をまちづくりに応用するならば、以下の6項目のようになるでしょう。
問い: そのまちは何を目指すのか?どのような価値を地域住民や社会に提供するのか?
ドラッカーは、あらゆる組織は明確な使命を持つことが重要だと考えました。これはまちづくりにおいても同様です。単に「活性化」という言葉ではなく、そのまちならではの個性や強みを活かし、どのような独自の価値を提供できるのかを深く掘り下げる必要があります。
問い: そのまちの「顧客」は誰か?(住民、企業、観光客など)。彼らは何を求めているのか?どのようなニーズに応えるべきか?
ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」と述べました。まちづくりにおいても、住民や地域社会のニーズを理解し、彼らにとって魅力的な環境やサービスを提供することが重要になります。一方的な行政主導ではなく、住民の声に耳を傾け、共創していく視点が求められます。
問い: そのまちの独自の強みは何か?(歴史、文化、自然、産業、立地など)。その強みをどのように活かし、他に負けない魅力を作っていくか?
ドラッカーは、組織は自らの強みに焦点を当て、それを徹底的に活かすべきだと考えました。まちづくりにおいても、地域が持つ独自の資源や特性を見極め、それを磨き上げ、まちの個性として打ち出していくことが重要です。
問い: まちづくりの具体的な目標は何か?どのようにその成果を測定し、改善につなげていくか?
ドラッカーは、目標管理(MBO)の重要性を提唱しました。まちづくりにおいても、定性的・抽象的な目標だけでなく、具体的な数値目標を設定し、進捗状況を把握・評価していくことが、効果的なまちづくりを進める上で不可欠です。
問い: そのまちはどのように新しい価値を生み出していくか?既存の枠組みにとらわれず、新しい発想や技術を取り入れる余地はあるか?
ドラッカーは、変化を機会と捉え、常に新しい価値創造を目指すイノベーションの重要性を強調しました。まちづくりにおいても、時代の変化や社会のニーズに対応しながら、新しい産業の創出、サービスの開発、コミュニティの形成などを積極的に進めていく姿勢が求められます。
問い: まちづくりを推進するための効果的な組織体制はどのようであるべきか?リーダーシップを発揮し、多様な関係者を巻き込み、目標達成に向けて牽引する人材はいるか?
ドラッカーは、組織の目的達成のためには、適切な組織構造とリーダーシップが不可欠であるとしました。まちづくりにおいても、行政だけでなく、住民組織、企業、NPOなど、多様な主体が連携し、それぞれの役割を果たせるような組織体制を構築することが重要です。また、共通の目標に向かって人々を導くリーダーシップの存在も欠かせません。
ドラッカーのマネジメント論は、企業経営だけでなく、目的を持つあらゆる組織運営に通じる普遍的な原則を含んでいます。彼の考え方をまちづくりに応用することで、より持続可能で、地域住民にとって真に価値のあるまちづくりを進めることができるのではないでしょうか。
八千代台まちづくり協議会は、組織の一員として行政の組織と協働して都市経営に参加することが必要だと考えています。上記1.使命(ミッション)の明確化では、そのまちならではの個性や強みを活かし、どのような独自の価値を提供できるのかを深く掘り下げます。その手法として、マーケティング戦略およびその上位に位置するブランディング戦略の活用が効果的です。ブランディング戦略で創り上げる「ブランド」とは、アップルやルイヴィトンなどの広告やロゴデザインだけのことではなく、「生活者1 人1 人の心の中にある、 感情移入が伴ったモノやサービスのことです」。[出典:「ブランディング教科書」 羽田康祐他]。八千代台地区への愛着や共感へと導く心理的価値を積み上げることにより、生活者1人1人の心の中に「八千代台ブランド」を築き上げることが可能となります。
愛着や共感へと導く心理的価値とは、具体的にはどのようなものでしょうか?
電車を使えば都会や空港にも近くて便利
車でのお買い物や移動も楽
バラの花や緑が多くて美しく癒される
子育て世代が多く活力があり未来への安心感がある
都心に行かなくてもイベントが定期的に開催されて楽しい
魅力的な商業施設や飲食店がありわくわくしおいしいを楽しめる
このような心理的価値の実現に反対する人は少ないと考えられ、これらを目標とすれば市民、事業者、市役所の目指す方向性のベクトルを統一することが可能になるはずです。そしてこれらの心理的価値が「八千代台ブランド」であり、まちづくりの使命(ミッション)とすることができるのです。
具体的なブランディング戦略を八千代台地域に適用する場合の手順はこちらを参照してください。
八千代台周辺の将来像を4Cの顧客間で具体的なイメージを共有できるようにするために、国土交通省が進めているPLATEAUプロジェクトによる都市の3Dモデリング技術が活用できると考えています。
八千代市の「京成本線沿線まちづくりビジョン」では、将来像の具体化に向けた次のフェーズを「まちづくり手法の検討」としているので、これらの手法を効果的に活用できると考えています。(左記図は「京成本線沿線まちづくりビジョン」P.95より抜粋。)